[#013]
 区画型と固定型
(02/06/02)
区画型 固定型
住宅、工業、埋立、港 学校、警察署、発電所
 SimCity3000では主に好きなサイズに調整できる区画型とサイズの決まっている施設を置くものの2種類に分けられます。

 前者はできるだけリアルにしようと言う欲求からこうなっていることは想像できるのですが、後者はそう簡単にはいきません。というのもそれは(SimCity 2000以降)「施設」に限定されているからです。
 区画型も施設であることに代わりはありませんが、そもそも固定型が固定型であり続ける理由があるように思えます。
詳しく言えばどうもプログラム上の都合が大きなウェイトを占めているように思えます。

 ちょっとSimCityシリーズの変遷を見てみましょう。
住・商・工 海港・空港 公園施設 教育施設 発電施設 警察・消防 ゴミ処理
SimCity classic 固定 固定 固定 なし 固定 固定 なし
SimCity 2000 区画 区画 固定複数 固定
SimCity 3000 埋立のみ区画
SimCity classicの
3タイルを基本とした区画
 
 このように、固定型であり続けているのは公園、厚生施設、発電施設、警察署・消防署、埋立を除くゴミ処理施設ですが、実際の立地面積などを考慮したら納得できない部分がなくはないでしょう。

 住宅などの3大地区が区画になったのは問題がありません。港についても規模や湾の形状などという理由がすんなり理解できます。しかし、公園なんて場所によってまちまちですし、発電所だって発電プラントだけが面積を占めていると言うことはありません(風力ならあり得ますけど)。警察署や病院だって細かくいってしまえば大きさはまちまちです。
 
 実際のゾーニング(アメリカね)では自治体によりますが、公園などはPublic/Privateの「P」という区画にするところが多いようです。場合によっては病院だったら「H」とか、空港だったら「AD」だとか、農業地区は「A」だとかそれはもう色々あるようである。また、Transportの略で区画「T」として駅などに使うところもあるようです。港は港で区画する所や工業地区内にされる所などあるようです(日本の場合は工業地区内で特別用途地区の臨港地区の規制と港湾法に基づいて作られるらしい)。


 ゾーニングでは確かに区画で定めているモノもあるのにもかかわらずSimCityでは固定型なのです。
 確かに警察や病院を固定型にしておく方が便利なのはわかりますが、どうもそれだけの理由ではないと考えられます。というのは、それぞれの施設の役割・能力を考えると分かってきます。

 港は規模によって取引量などもずいぶん変わってきますし、雇用や車の許容量なども違うでしょう。そう、規模によって影響がものすごく変わってしまうものなのです。これは固定型では困ります。

 公園はどうでしょう。確かに公園は大きさによって与える影響は異なりますが、SimCity内部では地価を上げたりする「効果」を持っていて、雇用や車などの影響を受ける存在ではありません。

1つの学校でこの生徒数はない
 では学校や病院はどうでしょう。これは雇用や通う生徒数や教師数、患者や医者などによる変化があっても良さそうなのですが、それと区画規模による影響を算出するのは厳しい。また、SimCity3000で調査ツールを使ってそれら施設を見てもその都市内の全体数が表示されるだけと言うところを見ても、そういった人の動きが絡んだ施設として存在していないことが分かります。その為、学校だけずらーっと工業地区に並べても都市の地価が上がる、というテクニックなど多用されるのでしょう。

 それと同じようなことが警察署なども言えるでしょうが、発電施設はどうなんでしょう。というのも、原発反対運動などでお馴染みかと思いますが、発電所(や軍事施設)は巨大な施設である分多くの雇用を生み出すのが現実です。お金だけで賛成する人ばかりではありません。
 SimCityで見てると、発電施設に人はいなくても(道路をつなげなくても)発電施設は機能しています。風力発電のような比較的安全な装置ならわかりますが、巨大なエネルギーを生成する施設に人がいないことは考えにくい。そこから見ても発電所は実際のようなモノとは異なり、ただのエネルギー(と汚染)を生成する「施設」であると扱われているから固定型でいいという扱われ方をするのでしょう。


 また、実際のゾーニングでは学校や公園は「パブリックスペース」として区画された土地の中に学校や公園を作るというようになっているのですが、SimCityでは行政側の立場なので、どこでもパブリックスペースにする事が出来るわけですね。

 だから公園や学校がサイズ固定型なのは、単に「そこまで入り込む分野ではない」という意味があるというよりも、あくまでも都市機能としての施設を置く、というイメージとして捉えた方がすんなり来るでしょう。 
参考文献:「ウィル・ライトが明かすシムシティーのすべて」、「任天堂シムシティー公式ガイドブック」、「ゾーニングとマスタープラン」、「現代の都市法−ドイツ・フランス・イギリス・アメリカ−」
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