[#017]
 SimCity 3000の橋(2)
(02/08/13)
 [#016]の続き。主に分析を行う。

【橋の高さ】
 右図は左から高度78m、91m、65mの陸地からひいた橋で、調査ツールで高度を調べたところ橋ランプ(橋の入り口の坂になっている所ね)が道路橋・鉄道橋の場合は65mとなっているように、65mの高度から橋を造ると右図左端のように土地に傾斜が着くのはランプ(橋の入り口)の所だけとなる。それ以上の高度になると、図を見ていただいてわかるように一度下がってまた登るという形になってしまいちょっと格好悪い

 また、この図を利用して橋の高さを計ることが出来る。陸地の高度をすでに上げており、対岸も高度は同じなのだから、センターラインをまっすぐ延長して引いてみると橋の上でも陸地の上でも同じ線の上に乗る物が出来る・・・・それが橋の高度、91mだ。
 同じ方法でやると高速道路の道路面は約100mの高さにあるといえる(高速自体が50mぐらいと高いので)。

 ここで[#016]の実際の橋データを見てもらおう。この中に登場する橋の中で一番桁下の高いゴールデンゲートブリッジですら67.1m(+鉄骨の部分10mちょい)で、どう考えても78m(91mの一つレベル下)の方が数字が近く、ふさわしい。・・・あわないじゃん。建物として3倍というほど大きくもないし・・・まぁすごく大きな差という事ではないけど。

 また、これは道路橋・鉄道橋すべて同じ高度になるのでブルックリン橋などでは実際の主塔高(84m)よりも高い高度に存在するというおかしな状況になってしまう。普通に考えれば一番大きな物で合わせるというのが当たり前だからしょうがないと思うが。

 ちなみにSimCity3000で橋を架けるときに坂が出来てしまうのは、この「船が通れるぐらいの高度」まで上げるためだと思われる。逆に言えば船を通したいとき以外は橋など造らなくてもいいとも言えるが・・・。


【経間】
 実際の中央経間とSimCity3000での経間を比べてみよう。
  中央経間 想定タイル数 実タイル数
ハーバー橋 503m 7.86タイル 5タイル 2.86(63.6%)
ブルックリン橋 486m 7.59タイル 5タイル 2.59(65.9%)
ゴールデンゲート橋 1280m 20タイル 9タイル 11(45.0%)

 こんな感じで中央経間を見ると、本来あるべき分のタイル数が足らないことがわかる。上二つのように4割減ぐらいならクオータービューによる錯覚とか建物3倍だからとかなんとかこじつけ出来なくもないが、ゴールデンゲート橋はさすがに見逃せない。いや、構造上この経間と主塔ではおかしいとしか言えません。


【幅】
 世界最大の幅を持つシドニーハーバーブリッジでさえ幅員48.8mと1タイル64mに遙か及ばない。ゴールデンゲートブリッジでさえ27mしかないのである。こうなってしまうと、道路が64m幅有るところさえそうないと言うことにもなってしまい、SimCityの1タイル=1エーカーはやはり土地利用的な所から来ていることが伺える。




「世界の橋-3000年にわたる自然への挑戦-」
より引用
【構造】
 アーチ橋はアーチを橋脚で支える形になっているため、ハーバー橋のようにアーチの終点に橋脚が来る。かたや吊り橋は右図のように主塔だけでなく、重力やワイヤーの張力を利用して橋を支えるため、橋の入口(出口)にアンカレイジと呼ばれるワイヤーを引っ張る(固定する)部分が必要となるのが普通である。本物のゴールデンゲート橋もそうなっているのだが([#016]の写真を見てね)、SimCity3000ではそこまで再現はされておらず、側経間は4〜8タイルと可変である(左下図)。

 これでは吊ってない部分は力学的に不安である。ブルックリン橋はゴールデンゲート橋みたいではないけれど、やはりワイヤーを引っ張っている部分は石造りのアンカレイジがある。
橋の構造の種類
 ひとくちに橋の構造と言っても様々な種類がある。(ココにも載ってるよ)
 簡単に分けてしまうなら「桁橋」「アーチ橋」「ラーメン橋」「トラス橋」「吊り橋」「斜張橋」という感じに分類されるだろう。鉄筋コンクリート製であるとか石造りであるというのは構造とは言わないし、可動橋であるかどうかというのもちょっと違う。

[桁橋]丸太を二本渡してその上に板をひいた構造の橋。もっともオーソドックスな橋。
[アーチ橋]曲を描く形をした構造で支える橋。深い谷に橋脚を作らずに通すものや、ハーバーブリッジのようにアーチ部を上まで持ってくるものもある。石橋のほとんどがアーチ橋。
[ラーメン橋]ラーメンはドイツ語で鋼節骨組のこと。主桁と橋脚が一体化したもの。高速道路・もしくは高速道路の上をまたぐ橋などに使われることが多い。
[トラス橋]長い鉄道橋に使われることの多い三角形を組み合わせて台形の様になっている橋。ゴールデンゲート橋のように吊り橋でもトラス、というのは骨組みがそうなっているということを表す。
[吊り橋]一般には主塔から主塔(もしくはアンカレイジ)にワイヤーをのばし、そこから垂直に垂らしたワイヤーによって橋桁を吊る構造の橋のこと。長大橋のほとんどがこの構造となっている。瀬戸大橋もこれ。
[斜張橋]主塔からワイヤーで直接橋桁を引っ張って吊る構造になっている橋。主塔が一本でもよかったり、道の両側から主塔を延ばさなくてもいいというデザイン性がある。横浜のベイブリッジがこれ。


【深度】
 普通、橋を架けるときはその対象となる川や湾の水底を調べる物だが、SimCityではそんな苦労も有りません。土木技師に任せればいいといえば聞こえがいいのですが、実際にどれぐらいの深度であろうと橋を架けてしまうという驚異の技術力(っていうか無理)なのです。
 人が通るぐらいの浮き橋なら橋脚が浮いているということもないことはないのですが、普通の橋は浮いていません。

 【構造】のところで説明したように吊り橋なんかは浮いたら橋を支えることが出来ないので、しっかりと橋脚の基礎を水中に築いくものです。あのゴールデンゲートブリッジの水中に埋められている橋脚もフットボール競技場さえも入ってしまう大きさなのだというぐらいです。また、昔はこの作業で命を落とすと言うことも昔は少なくなかったそうだ。今は機械で作業するわけだが、それでもいくら何でも深すぎる水底に橋を架けることはそんなに簡単ではない。
 さらにSimCityではこの深さによるデザインの変化、建設費の変化もない。どんな深さだろうと出来てしまうのだ(右図)。まぁできなかったら面白くないんですけど、自動整地ぐらいはしても良かったのかな、とかね。



 という感じで、ホントに見た目、として存在しているのがSimCityの橋。と考えるのがいいだろう。これはパッと見のランドスケープとしては問題ないが、機能としてはどうだろう?詳しく見た場合においてのランドスケープもどうかってことにもなるけど。

 過去の歴史において、タコマ・ナロウズ橋という吊り橋が風速16m/sの風にあおられて橋がねじれて崩落したという事故があった。その例を見ても橋は自然なものではないので、構造がアンバランスであればこういったことが起こらないとも限らない。もっとも、技術の発達した現代ではそんなことはあり得ないが、あり得ない事が通常概念として存在しているというということがSimCityにおいて橋の構造が本来の幾何学に沿っていなくてもよい、とされているとも言えるだろう。
 
ブルックリン橋とSimCity3000
 実は、ブルックリン橋というのは少し変わった橋で、人が歩く場所が橋の端(シャレではない)ではなく、中央に、しかも浮いた形で存在する。そのため車と接触することは飛び降りない限りあり得ない。

 そんなブルックリン橋は右写真のような作りで、主塔も各道路ごとに穴が開いているので、一見すると二つの吊り橋が並んでいるようにも見える(歩道はこの場合真ん中を迂回するような形になる)。しかし、SimCity 3000では見た目が似ているようにも見えるが、もっとリアルに再現したい。そこでこれを並べてみようと考えてみた。

 そんなことが出来るのか?実は出来ます。ただし条件があって、北西から南東に掛けた橋の右(東)隣りしか作ることが出来ないのです。この方向はまさにブルックリン橋を再現してくれっていっているのか?

主塔の真ん中と歩道こそ存在しないけど、大きくしてみると主塔上部、下部のデザインは紛れもなく一つでブルックリン橋を表現している。しかし・・・

こうすればもっとブルックリン橋に見えるんじゃないか?

この方法は他の橋(鉄道も)を架けるときにも有効な手法である

参考文献:「切手に見る世界の橋」、「現代の吊橋」、「世界の橋」、「世界の橋物語」、「橋の文化誌」、「道と路がわかる事典」
[戻る]